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2006年1月 9日 (月)

追いかけっこ。

僕は自転車に乗っていた。とはいっても友人宅からの帰りで、お土産として持っていった自分は苦手な濁り酒を飲まされてほんのりほろ酔い気分。こんな時には 無理しちゃいけないし、カバンの中にはもらったギフトがたっぷり。カバンの中におさまらなかったセーターは既に僕の体を包んでいたので、夕暮れの街をのん びりと、もうすぐ帰国か・・・という甘い感傷とともに進んでいく。そんな幸せな1コマだった。

しかしその幸せな風景は、彼女の出現によってがらりとその様子を変えてしまった。

      

彼女は並行する道からやってきた。マウンテンバイクに跨がり荷物は持たず、上下ともジャージでエクササイズ中という事を充分すぎるほどにアピールしてい た。普段ならば「お、いるな」と見送るのだが、彼女が僕の事をパスする時の一瞬の笑み、それが僕に火をつけたのだ。挑まれたからには、戦うのが男だろう。 決して彼女の後ろでその尻を眺めて,などという事は考えていない。

まずカバンの位置を修正しつつ上半身をやや前のめりにし(空気抵抗を減らす為)、彼女の後ろにぴったりついてペースを把握する。あくまでも、分析。

一通りペース配分などの「自転車に関する」分析を終えると、ちょっと前に出て様子を見る。ここではまだペースをあまり上げない。すると彼女もぴったりと僕 に暫く張り付いた後、おもむろに前に出た。
おもしろい、ヤル気か。ふふふ、後悔するなよ?

また暫くしてからペースを上げ、前に出る。でもまだだ、まだなのだ。楽しみはここから。彼女も負けじとついて来て、二人の追いかけっこは続いていく。

僕 「ほらほら、捕まえてごらん?」
彼女「ちょっと、待ってったら!」
僕 「ははは、早くしないと置いてっちゃうぞ*」
彼女「ああん、ちょっと待ってよぅ」

なんて妄想をしていたら、たっぷり10キロは走っていた。後ろを向くと、やや苦しそうに顔を歪ませて必死についてきている。名残惜しいがしょうがない、で もまた君と走りたいよという意味を込めて、とびきりの笑顔を残し一気にペースを上げると僕は彼女を置き去りにして角を曲がった。

なかなか良い一日だったと満足しつつ、改めて夕暮れの街を眺めようと回りに目をやると、なおも必死についてくる彼女の姿が。あまりにも必死な形相に恐くな り、自宅とは違う道で曲がってもなおも跡を追ってくる。なに,ストーカー?!と半ばパニックでベダルを回すこと鬼の如し。やっと振り切って安心すると、辺りは すっかり見知らぬ景色。汗に濡れたセーターと、思いきりシェイクされたカバンの中の炭酸飲料に気付き途方に暮れる僕。

      

教訓、簡単には熱くなるな。

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コメント

笑わせて貰いました。きっと君が目撃したのは
有名なターボババアのアメリカ版だと思われます。
非常にメジャーな伝説ですが一応参考リンク張ります。
あぶなかったですね。追いつかれていたら・・・。

http://members.at.infoseek.co.jp/mr_destruct/baba.html

※怪奇系が苦手な管理者様へ
不適切な発言でしたら削除願います(笑)

投稿: 通りすがりのhiRo | 2006年1月10日 (火) 01時25分

早速のコメントさんくす。
ちょっとリンク先も見てみたけど、このレベルであればまだ大丈夫そうだったよ。あれ以上に恐いものとなってくるともうお手上げだけどな。

頑張って更新していく予定だから、たまには遊びに来ておくれ。

投稿: Jon | 2006年1月10日 (火) 13時59分

かなりおもしろいんですけど(笑)

チャリダーってそんな楽しみが
あるんや。

それで毎朝びしょびしょだったのね(笑)


投稿: セカブロ | 2006年1月17日 (火) 04時11分

セカブロさんコメントありがとうございます!文章を褒めてもらえるととっても嬉しいですね。

チャリダーはすぐ(心も体も)熱くなり、そして(肉体的疲労とその汗の処理に)後悔する。この繰り返しが多いようです。たまにはちょっとムキになってみると面白いですよ!ぜひ一度お試しあれ*

投稿: Jon | 2006年1月17日 (火) 18時46分

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